黒海とカスピ海【陸地に囲まれているが海と呼ばれている理由を歴史的背景から解説】

カスピ海

学校の歴史の授業で一度は聞いたことのある名前「黒海」「カスピ海」。
先ず地図で場所を確認しましょう。

黒海とカスピ海の地図
左側が黒海で右側がカスピ海です。

どちらも陸地に囲まれています。海ではなく湖では?と思う人もいるかと思います。

一般的な海と湖の定義

海とは陸地以外の呼び方で、海水によって満たされている部分全てを指します。
湖とは内陸に存在する大きな水溜りのこと、「池」や「沼」が大きくなったものです。
この定義からするとやはり黒海とカスピ海は湖ではと思えてきます。

黒海の特徴

  • ほぼ大陸に囲まれている
  • 他の海とつながっている(ボスポラス海峡で地中海と辛うじてつながっている)
  • 塩分濃度が高い(約17%)
  • 6か国が面している(トルコ、ブルガリア、ルーマニア、ウクライナ、ロシア、ジョージア)
盛り塩
黒海の水は塩分濃度が高くとても塩辛いです。

大陸には囲まれているが、地中海と辛うじてつながっており、
塩分濃度(海水の塩分濃度約3%)が高いことから海として呼ばれています。

琵琶湖も大阪湾につながっています。もし琵琶湖の水が塩辛かったら~海と呼ばれていたかもしれません。

カスピ海の特徴

  • 完全に大陸に囲まれている
  • 他の海とつながっていない
  • 5か国が面している(ロシア、アゼルバイジャン、イラン、トルクメニスタン、カザフスタン)
  • 協定によって「海」と定義されている
  • 塩分濃度は高い(約1.2%)
  • 大量の石油が埋蔵されている

カスピ海は黒海のように他の海とはつながっていません。そのため一般的な定義による「海」には当てはまりません。
ではなぜカスピ海が「海」と定義されているかその理由について次の項で説明していきます。

カスピ海が「海」と定義されている理由

  • と定義された場合:国際的慣習により水域内の資源は沿岸各国の共有財産となり均等に分配されます。
  • と定義された場合:国連海洋法条約が適用され沿岸線の長さに応じて領海が設定されます。
油田
カスピ海には大量の石油が埋蔵されています。

各国によって沿岸線の長さが異なります。
また場所によって石油の埋蔵量も異なります。
石油の埋蔵量は北側に多く偏っています。

カスピ海を「海」と定義することでロシアは多くの石油を手にすることができます。
このような背景から、カスピ海に面している5か国によってカスピ海は「海」であると法的な定義がされています。

もちろんカスピ海を「海」と定義することで損をする国(イラン)もあります。

ロシアとイランとの力関係で、ロシアにメリットのある定義となっています。

最後までよんでいただきありがとうございます。
陸地に囲まれている黒海とカスピ海が「海」と定義されている理由がそれぞれ違うってことがわかっていただけたかと思います。
黒海は、水が塩辛く他の海とつながっているから「海」とみなされています。
カスピ海は、「海」と定義すると得をする国があるので「海」と定義されています。

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