滋賀県には、草津市という地名があります。
そのため、草津温泉は滋賀県にあるの?と勘違いされる方も少なくないようです。草津温泉は、滋賀県ではなく、群馬県にあります。
でもなぜ、滋賀県と群馬県に草津という地名が使われているか。ここでは、草津という地名のルーツと、異なる2県で、同じ地名が使われるにようになった経緯について、説明します。
滋賀県と群馬県の共通点
草津という地名が以外にも、滋賀県と群馬県の2県に、使われている地名は他にもあります。
滋賀県と群馬県の2県に使われている地名
地名 | 読み方 | 滋賀県での使われ方 | 群馬県での使われ方 |
草津 | くさつ | 草津市 | 草津町、草津温泉 |
大津 | おおつ | 大津市 | 大津駅 |
吾妻 | あずま/あがつま | 吾妻川(あずまがわ) | 吾妻郡(あがつまぐん)、吾妻川(あがつまがわ) |
渋川 | しぶかわ | 草津市の地名 | 渋川市 |
伊香保 | いかほ | 伊香保町、伊香保温泉 | 伊香保温泉 |
同じような地名が、違う都道府県で使われていることはよくあります。例えば、「京橋」(東京都 と 大阪府) は有名ですね。しかしながら、「草津」、「大津」、「吾妻」、「渋川」、「伊香保」 という 5つの地名が、異なる2県で使用されているのは、何か理由があると考えるのが自然です。
例えば、
滋賀県 と 群馬県の どちらか一方の県、にこれらの地名の使われ、その後、他方の県にもこれら同じ地名が使われるようになった。
など。
そこで、次の項では、「草津」という地名のルーツから、なぜ異なる2県で同じ地名が使われているかについて考察していきます。
「草津」という地名のルーツ
滋賀県草津市は、昔から陸上と水上の交通網が栄えていました。江戸時代には東海道と中山道が接する交通の要所。現在は、新幹線や高速道路など、日本を東西に結ぶ交通網が発達。琵琶湖の下流は、京都、大阪、奈良、三重、兵庫につながっています。(昔は、水上輸送がメインでした。)
陸上と水上の交通網の要所となっていたこの場所は、陸をあらわす「草」と、港をあらわす「津」が、ひとつになり「草津」と呼ばれるになったと言われています。
このことから、「草津」という地名は、滋賀県発祥であると考えられます。(群馬県には、陸上と水上の交通網の要所となるようなところはないです。)
次の項では、滋賀県の地名が、どのようにして群馬県で使われるようになったかについて、
説明していきます。
同じ地名が、異なる2県で使われるになった経緯
時代は、2000年ぐらい前に遡ります。この時代の日本には、群馬県はまだ含まれていませんでした。群馬県はおろか、北海道、沖縄、東北、関東は別の国であり、これらの地域が日本に含まれるのは、この時代からかなり経ってからになります。
別の国ですので、お互いに領土を奪い合うような状況にあり、日本古事記によると、ヤマトタケルが東国(読み方:とうごく、関東地方)を討伐したという記載があります。
地理的には、京都府・奈良県あたりから、関東地方へ向かって進軍します。出発地点のすぐ東側にある、滋賀県で兵を募ります。昔は、今のように新幹線や車はないため、関東まで行くのはとても大変で、なかなか帰ってこれません。そのため、関東に行くということは、しばらくの間故郷に戻れなくなるということになります。
しばらくの間故郷に戻れない、滋賀県の兵士のことを偲(しの)んで、討伐した土地に、故郷と同じ地名を名付けました。
このようにして、滋賀県にある「草津」、「大津」、「吾妻」、「渋川」、「伊香保」という地名が、群馬県にも使われるになったと言われています。
ここまでの説明の中で、はっきりしていることは、滋賀県と群馬県の2県に、「草津」、「大津」、「吾妻」、「渋川」、「伊香保」という地名が使われているという点となります。
それ以外は、この事実からの推測となっています。なぜはっきりした結論が出せないのか、この理由について、次の項で説明しいたします。
歴史的証拠がない理由
まず、歴史的事実は、何をもってして判断するかなのですが、文字情報から判断していきます。
しかしながら、このころはまだ日本では文字が使われておらず、歴史的事実を判断する文字情報がありません。
文字という文化は、中国から伝わったものであり、中国から文字という文化が伝わってくるまで、日本での情報交換の方法は、口頭のみでした。
ヤマトタケルが東国を討伐したという記述は、このころに中国から日本に来ていた人物が書き残した記録からのものとなります。(中国も時代によっては、中国国内の内戦などで、日本に来れない時期もありました)そのため、中国から文字の文化が伝わる飛鳥時代より前の時代は、
歴史的事実を判断するものがほとんどありません。
そのため、この時代の日本の歴史については、いろいろな説があります。ここで説明させていただことも、筆者の人の節となります。なかなかはっきりしないところはありますが、それゆえ、いろいろな説を想像することができるというのが、日本の歴史の一つの魅力であると筆者は考えます。
最後まで、この記事を読んだいただきありがとうございます。草津温泉は滋賀県にある? というテーマから、日本の歴史まで説明させていただきました。この記事を読んでしまうと、「草津温泉は滋賀県にある?」という疑問は吹き飛んでしまっているでしょう。
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