ユダヤ教の歴史ストーリー解説{海外の人と接する機会のある人におすすめ}

嘆きの壁

ユダヤ教について初心者向けに解説
日本人が海外の人と話をするときに比較的宗教に関する知識が足りないと言われることが多いです
今後海外の人と接する機会がある人はこの記事を読んで基礎知識を身につけることができます

では解説していきます

天地創造

この世の中は神が作りました(ユダヤ教の概念です。以降この語調で記述しています)
最初の6日間で世界を作り、最後の1日はお休みしました
※ 1週間が7日なのはこれが由来

アダムとイヴ

神は神と同じ形をした人形を作り、この人形に生命を吹き込みました
アダムに命を吹き込む
こうして出来上がった神と同じ形をした生命体が人間です
そしてアダムの肋骨(あばらぼね)からイヴが生まれました
※ 映画E.T.で指と指をタッチするのは、これが由来

楽園追放

アダムとイヴはある果実を食べることを禁止されていました(禁断の果実)
そこにヘビがやってきて、アダムとイヴにその果実を食べることをそそのかします
そしてアダムとイヴはその果実を食べてしまいます
この果実は知恵の実とも呼ばれており、食べると知恵がつきます
アダムとイヴはもともと裸だったのですが、それまでは裸であることに対してなにも気になっていませんでした
ところが知恵の実を食べた後、自分達が裸であることが恥ずかしく感じるようになり、性器をいちじくの葉で隠すようになりました
この様子を見ていた神はアダムとイヴが禁断果実を食べたことに気づきました
食べることを禁止していた果実を食べてしまったアダムとイヴは堕落しているとして楽園から追放されていまいます
※ 禁断の果実(=知恵の実)は、「りんご」と描かれることが多いです
しかしながら、禁断の果実があったとされる地域(現パレスチナ)はとても気温の高い気候であったため、
りんごが育つような環境にはありません
禁断の果実は、「バナナ」として記述されている書物もあります
このことから、布教活動のためのちのちに「バナナ」から「りんご」に書き換えられたと考えられます

ノアの方舟(はこぶね)

楽園を追放されたアダムとイヴの子孫(人間)は、人間同士で争うようになります
これを見た神は、人間は堕落しているとして、洪水で人間を滅ぼすことを決心します
そこで、神は、アダムから数えて10代目の子孫にあたるノアに、このこと(洪水で人間を滅ぼす計画)と、
舟を作るように命じます
ノアは、神を信じる無垢な人でした
このことを聞いたノアは、高い山に移動して大きな舟(方舟)を作ります
そしてその中に動物をオスとメスの一対ずつ乗せて洪水を逃れます
ノアは、自分以外の人間にも声をかけましたが誰もノアの言うことを信じようとしませんでした
結局ノアの方舟に乗った人間は、ノアとノアの奥さんとノアの息子の3人だけでした
3人でたくさんの動物の世話はとても大変だったようです

アブラハムの契約

ノアの子孫であるアブラハムと神はある契約を交わします
アブラハムは、正しい行いとする
神は、アブラハムとアブラハムの子孫にカナンの地(現エルサレム)を与える
こうして、アブラハムとその子孫は正しい行いをする代わりに、神からカナンの地を手に入れることになります

出エジプト編

アブラハムの契約の後、年月が過ぎて状況が変わってきます

  • アブラハムの子孫はユダヤ人と呼ばれるようになっている
  • 人間は、ユダヤ人だけではなく他の民族もいる
  • ユダヤ人が、エジプトで奴隷のように扱われている

聖書にかかれている内容をなぞって解説しています
ここでは、ユダヤ人がエジプトで奴隷のように扱われているシーンから描かれています

この状況を見た神が、モーセに告げます「ユダヤ人を救いなさい」と
神から声を聞いたモーセは、ユダヤの人たちに、エジプトから逃げることを呼びかけます
しかしながら、ユダヤ人達はエジプトの支配に絶望感を感じており、エジプトから逃げようとしません
そこで、モーセは超常の力を皆の前で見せます(モーセは、神から超常の力を与えられていました)

モーセの超常の力

  • エジプトのファラオ王の杖を蛇に変えた
  • ナイル川を血に変えた

これをみたユダヤ人達はモーセについて行きエジプトから脱出することを決心します
ユダヤ人達がエジプトを逃げていくと、それをエジプト人達が追いかけます
このときユダヤ人達はカナンの地(現パレスチナ)へ向かっていました
アブラハムの契約で神から授かった約束の地(カナンの地)へ戻ることを決心します

エジプトとカナンの地との間には海(アフリカ大陸とシナイ半島の間の紅海)があります
ここでユダヤ人達はもうこれ以上は逃げられないという雰囲気になりました
そこで、モーセは紅海をまっぷたつに割ってユダヤ人達がシナイ半島まで逃げれる道を作ります
モーセ海を割る
こうしてユダヤ人達はモーセが割った紅海を歩いてシナイ半島までたどり着きます
それをエジプト人達も同じようにモーセが割った紅海を歩いていきます
ところが、ユダヤ人達が紅海をわたり切ると紅海は元に戻り、エジプト人達は溺れてしまいます
こうしてユダヤ人達はエジプト人達から逃れることができました

このときモーセに神からのお告げが伝えられます
神の言葉は石板に刻まれ、モーセはその石板を掲げてユダヤ人たちに伝えます
これが「モーセの十戒です」
モーセの十戒

モーセの十戒

  • 1. 唯一神への信仰(ただひとつの神を信じること)
  • 2. 偶像崇拝禁止(偶像をつかって神を崇拝しないこと、偶像を作ると神のイメージが複数となる、これを禁止)
  • 3. 神名をみだりに唱えることを禁止
  • 4. 安息日の厳守(日曜日は働かない)
  • 5. 父母を敬う(うやまう)
  • 6. 殺人禁止
  • 7. 姦淫(かんいん)禁止(不倫や浮気を禁止)
  • 8. 盗み禁止
  • 9. 偽証禁止(嘘をつかない)
  • 10. 貪欲禁止(よくばり過ぎない)

※ 9. 偽証禁止は、離婚禁止(フランスのコンガエシ)に繋がります
※ 10. 貪欲禁止は、お金儲けに関係し、協会への寄付などに繋がります

モーセは、神の言葉を預かるものとして、これ以降「預言者」と呼ばれます(予言者とは異なります)

預言者と予言者

  • 預言者:神からの言葉を「預かる(あずかる)」もの
  • 予言者:未来に起こることを「予め(あらかじめ)」言うもの

ダビデ王 vs ゴリアテ

ダビデ王
モーセの超常の力によりユダヤ人達はカナンの地にたどり着きます
しかしながら、この地は他の民族(ペリシア人)によって支配されていました
ユダヤ人たちがカナンの地を取り戻すためには、ペリシア人と戦い、勝利しなければなりません
ペリシア人にはゴリアテという巨体の大男(3メートル)がいます
一方ユダヤ人にはゴリアテに対抗できるような体格に恵まれた人はいません
ユダヤ人達はようやくカナンの地にたどり着きましたがここでまた絶望感に襲われます
そこでダビデ王がゴリアテを倒すと名乗り出ます
ダビデ王は当時のユダヤ人の王
体格は一般的でとてもゴリアテに勝てそうには見えません
またゴリアテは全身鎧で武装しており、とても長い槍をもっていました
これを見た周りのユダヤ人達はダビデ王に鎧を装備させます

ところがダビデ王はせっかく装備させてもらった鎧を脱いでしまいます
それをみたゴリアテは槍でダビデ王を攻撃します
ダビデ王は鎧を来ていないので一撃でも致命傷となります
しかしながら、ダビデ王はゴリアテの攻撃をすべてかわしてしまいます
ゴリアテは鎧を装備しているため動きが遅く槍の攻撃はそれほど速くありませんでした
一方ダビデ王は鎧を来ていないのでとても俊敏に動くことができました
ダビデ王は冷静に、このことを理解し戦いに勝つためには鎧は脱いだほうがいいと判断したのです

ゴリアテからの攻撃をかわせたとしても、ゴリアテはとても長い槍をもっているのでダビデ王はゴリアテに近づくことができません
そこでダビデ王は、石を布に巻いてそれを振り回し、投石でゴリアテの頭部を狙います
ゴリアテは兜(かぶと)を装備していましたが、一部頭が覆われていない箇所がありました
ダビデ王はそれに気づいて、投石で攻撃し、見事ゴリアテを倒します!
ゴリアテ

ダビデ王とゴリアテの戦いは、戦う前はダビデ王が圧倒的に不利に見えました

戦う前のダビデ王とゴリアテ

  • ダビデ王:身長普通、鎧装備
  • ゴリアテ:身長3メートル、鎧装備、長い槍装備

ダビデ王はゴリアテの弱みを見つけ

ゴリアテの弱み

  • 動きが遅い
  • 頭部は兜で覆われていない箇所がある

ダビデ王の強みをそこ(ゴリアテの弱み)にぶつけます

ダビデ王の長所

  • 動きが俊敏
  • 投石の精度(ダビデ王は普段から投石の練習をしており、ゴリアテの頭に石をぶつけるほどのスキルがありました)

このように相手の弱みに、自分の強みをぶつけるという考えは、
「良い戦略 悪い戦略」という書籍でも紹介されており
課題を克服するときにとても参考になる考え方です

ご興味がある方はこちらの書籍を御覧ください
ダビデ王の戦略の素晴らしさが詳細に解説されています

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ソロモン神殿

ダビデ王の活躍でユダヤ人がカナンの地を取り戻した後、年月が過ぎ、
当時のユダヤ人の王であるソロモン王が、神殿を建設します
その神殿の中に、モーセの石板を置きます
さらにイスラエル国を建国します
※ ユダヤ人はカナンの地を取り戻し自分達の国を建国したこのときが、ユダヤ人の絶頂期となります

ソロモン神殿破壊

ソロモン王により神殿が建設されましたが、その後、イスラエルは他の民族に攻め込まれて神殿が破壊されてしまいます

第二神殿建設

ソロモン神殿が破壊されまたもや絶望するユダヤ人のもとに、大天使ガブリエルが神の言葉を伝えに来ます
このときガブリエルは、ユダヤ人に知恵と悟りを授け神殿再建について励まします
ガブリエルから授かった知恵を元に、神殿を再度建設します
これが第二神殿とよばれます

ローマ軍の侵略

ガブリエルから授かった知恵を元に、神殿を再建したユダヤ人には活気がありました
しかしながら、このときはローマ帝国が覇権を握っている時代であり、カナンの地へも攻め込んできます
こうして第二神殿も破壊されてしまいます
ユダヤ人はローマ帝国に支配され、ローマ帝国の属国となります

破壊された第二神殿:
ローマ帝国によって破壊された第二神殿の一部はそのまま残っており、「嘆き(なげき)の壁」と呼ばれ、
エルサレムに今もあります
嘆きの壁

離散

ローマ帝国に支配されていたユダヤ人は反旗を翻します
しかしながら相手はあのローマ帝国です、制圧されてしまいます
そして、ローマ帝国から「ユダヤ人は、イスラエル立ち入り禁止」を言い渡されます
こうして、ユダヤ人達はイスラエルから追い出されてしまい
方々に散っていきます
これが離散(ヘブライ語:ディアスポラ)と呼ばれています
これは、西暦123年のことでした

ユダヤ教の特徴

ユダヤ教の特徴をまとめると以下のようになります

  • ユダヤ人のみユダヤ教徒となれる
  • ユダヤ人は神から選ばれた民
  • 世界の終わりが近づいたら救世主があらわれる
  • 救世主はまだあらわれていない

ユダヤ教の世界観として、発祥が紀元前のユダヤ教は2000年以上経ったいまでもこのストーリーは続いており、「救世主はまだあらわれていない」というところがポイントとなります

ユダヤ教の発祥はここまでですが、この続きとしてキリスト教の発祥とイスラム教の発祥があります
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イスラム教の発祥

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