雨が降る仕組み【身の回りにある現象を例に科学的な側面から説明します】

傘をさしている人たちが町の中を歩いている

雨が降る仕組みについて、科学的な側面から解説します。結論から言うと、「地表は暖かく、上空は寒いから」です。
水は温められると、気体となり、冷やされると液体になる。地表にある水が、気体となり、上空に移動する。今度は、上空で冷やされて液体となり、地表に落ちてくる。この繰り返しと考えるとイメージしやすいと思います。

ここでは、更に深堀して、下記について解説します。

なぜ地表は暖かく、上空は寒いのか

地球は太陽により温められています。太陽の表面温度は、非常に高温ですので、オーブントースターがパンを焼くように、
太陽の熱が地球に届いているというイメージを持たれる方もいるかも知れません。しかしながら、太陽が地球を暖める方法は、オーブントースターの方法ではなく、電子レンジと同じ方法となります。

for example 電子レンジで食べ物を暖めると、食べ物の表面が暖かくなります。電子レンジの中(空気)は、そんなに暖かくありません。これは、電子レンジの内側の壁から電磁波が発生しており、この電磁波が最初にぶつかったところで、熱を発生するという性質を持っているためです。

電子レンジの中の食べ物から湯気が出ている。電子レンジの上に音符が表示されており、音が鳴っていることを表現している
太陽が地球を暖めるのは、電子レンジが食べ物を暖めるのと原理は同じ

これと同じように、太陽からも電磁波が発生しており、最初にぶつかるのが地球の表面です。そのため、地表が一番暖かくなります。暖められた地表の熱が、上空に伝わりますが、地表から上空までの距離があるので、上空はそんなに暖かくないです(寒いです)。

なぜ水は温められると気体となるのか

洗濯物を外に干しておくと、洗濯物が乾きます。洗濯物に付着した水分は、空気中へ移動し、空気中に移動した水分は気体に変化します。

これは、

  • 物質は、圧力の高いところから、圧力の低いところへ移動する。
  • 圧力の低いところでは、水は気体になりやすい。

という2つの性質があるためです。

先ず、物質は、圧力の高いところから、圧力の低いところへ移動するについて説明します。自転車等のタイヤの空気入れのところを空けると、タイヤの中の空気が抜けていきます。タイヤの中の空気は、タイヤの外の空気よりも圧力が高いので、空気入れのところを空けると、タイヤの中の空気が、外側に移動します。これは、圧力の高いものと低いものを混ぜると、圧力は均一になろうとする性質があるためです。

このように、洗濯物に付着している水分は、空気よりも圧力が高いので、空気中に移動していきます。

液体の方が気体よりも圧力が高い?
と疑問に思われた方に、少し補足説明します。先ほどの、タイヤの中の空気と、タイヤの外の空気の例で言うと、タイヤの中には、空気入れで、たくさんの空気を詰め込みます。

    タイヤの中はとてもたくさんの物質が詰まっている。 = 圧力が高い。

という状態になります。

洗濯物に付着している水分は空気よりも重たいですよね。重たいということは、同じ体積内に存在する物質が多い。
ということになります。(エレベータもたくさん人が乗ると、重量オーバーになりますよね。)

このようにして、

    重たい = 同じ体積内に存在する物質が多い = 圧力が高い

という状態になります。

このことから、洗濯物に付着している水分は空気よりも圧力が高いということが言えます。

次に、圧力の低いところでは、水は気体になりやすいについて
上記の説明では、水が空気中に移動するため、水の塊が四方八方へ引っ張られ、水の塊自体が、膨張するような状況が発生します。そして、水の塊の表面では、水のとても小さな粒が、水の塊から引きはがされて、空気中に移動していきます。そして、空気中に移動した水の小さな粒は、分解され、更に小さな粒になっていきます。水の小さな粒は、お互いに、引っ張り合う力が働いています。この引っ張り合う力があるため、水は塊として存在することができます。
しかしながら、水の粒が小さいと、お互いに引っ張り合う力よりも、四方八方に引っ張られる力の方が大きいため、どんどん分解され、更に更に小さな粒になっていきます。

月の重力は、地球の重力よりも小さいですね。これは、物質の大きさによって、重力が変わるためです。

このようにして、圧力の低いところでは、水の粒は、四方八方へ引っ張られ、だんだん細かい粒になっていき、やがては気体になります。(単位体積当たりの、粒の数がある程度まで少なくなると、気体となります)

なぜ気体となった水は上空に移動するのか?

入浴剤の塊をお風呂の浴槽に入れると、最初は、浴槽の底に沈みます。次第に、入浴剤の塊は溶けて小さくなり、ある程度の大きさになると、水面の方へ浮上してきます。これは、入浴剤の塊を構成している小さな粒一つが、水を構成している小さな粒一つよりも軽く、軽いものは上に、重いものは下に移動するという性質があるためです。

お風呂の浴槽に投入した段階では、入浴剤の塊は、粒が密集しているので、単位体積当たりの重さは、水よりも重いです。

その後、入浴剤の塊はどんどん溶けて小さくなっていき、単位体積当たりの重さも軽くなっていきます。

ここで、少し専門的な話をすると、
水を構成している粒とは、酸素と水素で、分子量(一粒当たりの重量)は、18 となります。一方で、空気を構成している粒は、主に、酸素、窒素、二酸化炭素であり、分子量は、約29 となります。18 は、29 よりも小さい(軽い)ため、気体となった水は、上空に移動します。

なぜ気体となった水が冷やされると液体となるのか?

コップに氷水を入れてしばらく置いておくと、コップの表面に水滴がつきます。コップの中の水が、コップの外側へあふれ出ているわけではなく、コップ表面の空気中の水分が冷やされて、液体に変化しています。

物質は冷やされると飛び回っている速度に遅くなります。(特に空気中の)物質は、常に、四方八方に飛び回っています。)
飛び回る速度が遅くなると、物質同士がお互いに引っ張り合えるようになり、結合していきます。(元々、物質同士はお互いを引っ張り合う力が働いています。しかしながら、普段は飛び回る速度が速いため、あまり引っ張り合えないです)
このようにして、物質は冷やすと、飛び回る速度が遅くなり、お互いに結合するようになります。そして結合がどんどん進み、単位体積当たりの水の粒の数がある程度まで多くなると、液体となります。

なぜ冷やされて液体となった水が地表に落下するのか

気球は一度上昇して、最後には降下します。バーナーを点火し、気球の中の空気を暖めることで、気球の中の空気が軽くなり上昇します。バーナーを消すと、気球の中の空気が冷えて、気球の中の空気が、気球の外の空気と同じぐらいの重さになります。気球に乗っている人の重量の分だけ、空気より重たくなり、降下していきます。

これは、空気を暖めると、空気を構成している粒の移動速度が速くなるという性質があるためです。移動速度が速くなると、大きく膨張しようとし、気球を膨らませようとします。(鍋に水を入れて火をつけると、フタが持ち上がるのも同じ理由です。)気球は強度があるため、ある程度まで膨らむと、もうそれ以上膨らまなくなります。そうして、行き場のなくなった空気の粒は、気球の下側から、外へ移動していきます。このようにして、気球の中では、空気の粒がどんどん外側へ逃げていき、気球の中の空気の粒は少なくなっていきます。気球の中の空気の粒が少なくなると、単位体積当たりの粒の数が、気球の外の空気よりも少なくなり、軽くなり、気球は上昇します。

降下する時は、この逆の現象となります。
バーナーの火を消すと、気球の中の空気の粒の移動速度が遅くなります(元のスピードに戻ります)。

  • 気球の中の空気の粒の量が少ない = 気圧が低い
  • 気球の外の空気の粒の量が多い = 気圧が高い

という状態となり、気球の外の空気が、気球の中に移動するようになります。
気球の外から、気球の中へ、空気の粒が移動すると、気球の中の空気の粒の数が、気球の外の空気の粒の数と同じぐらいになり、気球に乗っている人の重さだけ、気球は空気よりも重くなり、降下します。

気体となった水は、空気よりも軽く、一旦は上空へ上昇します。そして上空で冷やされて、液体となり、単位体積当たりの水の粒が多くなります。単位体積当たりの水の粒が多くなると、空気よりも重たくなり、雨となって上空から地表に落下します。

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